最近”ELPレーザーターンテーブル”でレコードを再生して、レコードから出る音の素晴らしさを再確認しています。

 何度も書いていますように、この”ELPレーザーターンテーブル”とは、質量をもつ「レコード針」でレコード溝をトレースするのではなく、質量のないレーザー光でレコード溝をトレースします。だから今までのアナログプレーヤーの音とはちょっと違う音がするのです。

 具体的には音の解像度が素晴らしいのです。逆の事も言えて、通常のアナログレコードプレーヤーの音の方が、柔らかみとか温かみを感じます。

 私は当初、この両者の音質の違いは単なる機器の再生方式のキャラクター差であって、そのどちらの方が優秀かとか、そういう問題ではないと思っていました。

 ところがいくつかのレコード再生で?? と感じたのです。

 それはELPレーザーターンテーブルで再生した音と、後にCD(またはSACD)化したものの音とがとても似ている物があるという事実です。具体的には「パスキエ演奏の モーツァルト:VnとVaの二重奏曲」とか「テラーク盤のサンサーンスオルガン交響曲」です。ドルジーニンのLPもそうです。

 それらのレコードを通常のアナログレコードプレーヤーで再生すると、もう少し柔らかな(悪くいえばぼけた)音がします。また、通常のアナログレコードプレーヤーの方が少しモノラル録音ぽく、音像が中央に寄る傾向にあります。すなわちCD版(SACD版)とは音が違うのです。しかし一方、ELPでレコードを再生するとCD(SACD)と似ています。

 私は今までCD化したから音が悪く(クールに、CDっぽく)なったのだとばかり思っていました。デジタル処理をすると、皆そうなるものと思っていたのです。しかし実は、今までのアナログレコードプレーヤーが、レコード本来の音を再生出来なかったからなのではないでしょうか?

 事実原理的に、質量のある針を動かしてカッティング作業をして、次に質量のある針でそのカッティングされた溝をトレースする作業を行うと、運動のずれが二重に起きるはずです。それが「音のぼけ(柔らかさとも言えます)」に現れるのだと思います。

 本来ならば、「理想的なCD化」は、アナログレコードと同じ傾向の音になるべきです。しかし私はこれまで、「CD化したものは音が違う(悪くなったというわけではなく)」とずっと感じていたのです。一方、ELPレーザーターンテーブルでの再生で、LPの音とCDの音の傾向が一致する物が多く見られるのです。そしてELPとアナログレコードプレーヤーの音の傾向は違うのです。ということは、通常方式のアナログレコードプレーヤーの再現能力の方を疑った方が理にかなってはいないか?という疑問をもったのです。

 

補足1: 全てのアナログレコードプレーヤーの音を知っているわけではありません。
補足2: 後にCD化するときに、音を(エンジニアが良いつもりで)大きくいじってしまったものは、実際に音が変わってしまっていますので、プレーヤー以前の問題です。

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