毛替えにいらっしゃるお客様のかなりの割合で、練習後に弓の毛をきちんと緩めないで、張りっぱなしになっている方が意外と多いです。
それを指摘すると、大体次の3パターンの言い訳(?)がきます。
- 「あ~っ、練習後に急いで来たもので」
- 「以前、あまり緩めすぎない方が良いと言われたので」
- 「これ以上緩まないのです」
「1.」は言い訳以外のなにものでもないので、ちょっと論外ですが、「2.」と「3.」について説明をします。
「2.」では「あまり緩めすぎない方が良い」との事ですが、「緩めすぎる」というのは毛がブラブラと垂れ下がるくらいの緩め具合の事です。理想的な緩め具合とは、毛をピンと張った状態で平面状態だった毛が、緩めてほわっとほぐれている状態です。簡単に言えば、「毛に張力が掛かっていない状態だが、ブラブラ垂れ下がっていない状態」です。
「3.」で「これ以上緩まない」というのはフロッシュが引っかかってしまった状態です。基本的に、弓の毛を緩める作業は、フロッシュの8角ネジを回して緩めるのですが、コツは単に回すだけでなくて、「ちょっとだけ弓先に向かって軽く押しながら8角ネジを回す」のです。
フロッシュが引っかかっていてこれ以上緩まないのか、それとも本当に構造上これ以上緩まないのかは、フロッシュ端と巻革との距離を見るとだいたい判ります(乾燥期には実際にそれ以上緩まない場合も多いです)。
いずれにせよ、練習後には意識的に毛を緩めましょう。
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