車の運転中にFMで「ジネット・ヌヴー特集」をしていました。最初はヌヴーとは知らずに、単なる「古い録音」として聴いていました。何気なく、「こんな悪い録音では、いくら上手な演奏でもせっかくのヴァイオリンの魅力が伝わらないなあ」と考えながら聴いていました。
ところが、それらはヌヴーの演奏で、パーソナリティーとかゲストの演奏家とがべた褒めなのです。
私からすると、「そんなに美化するほどか?」と思うのですが、どうやらヌヴーのファンは想像以上に多いみたいです。神格化されている感じです。
そこでふと思いつきました。この手の”録音の悪い”演奏を(さらに程度の低い再生装置で再生して)良いと思っている人達が、「私に言わせたら音が悪い楽器を、雰囲気があって良いと思い込んで購入しているのではないか?」、と。
意外なほど「音が出ない、響きの無い、ダイナミクスが狭く詰まったような音の楽器を、良いと思い込んで自信満々でうんちくを述べる人が多いのです。その自信がどこから来ているのだろう?と、私は不思議でなりませんでした。
源音のSPレコードまで購入して、ELPレーザーターンテーブルで検証した私が言い切ります。ヌヴーのヴァイオリンの音って、またはカザルスのチェロの音って、CDやラジオから流れている、寸詰まりの音とは違ったはずです。もっと、響きのある音なのです。