少し前にテレビで、左手だけのピアノコンクールというのを放送していました。「左手のピアニスト」と言えば舘野泉氏が有名ですが、こんなにたくさんの方々が左手でピアノ演奏しているとは知りませんでした。

 以前、舘野氏のドキュメンタリー番組を観たときに、左手だけで奏でたピアノの音の素敵さに驚いた記憶がありました。ただ、そのときには舘野氏の演奏者としての魅力の音なのかな?とも感じていたのです。

 今回、左手だけのピアノコンクールという番組で、アマチュアの方も含めて何人もの演奏を聴いて、あらためて感じました。

 「なるほど、引き算の美学なのか」、と。 これはヴァイオリンの音にも共通する事です。

 ピアノ演奏に限らず、通常の仕事などにも当てはまりますが、人間、真剣に行おうとすればするほど、ついついプラスの方向へと行動してしまうのです。悪く言えば、コテコテといろいろなものを追加してしまいがちなのです。

 ところが、本当に美しいものって「引き算の美学」です。

 まあ、「引く」行為って、「足す」行為よりも何倍もの勇気が必要なので、そうそう出来ることではないのですが。

関連記事: