東芝製のテストレコードを使って、ELPレーザーターンテーブルのクロストーク歪みを検証してみました。

 比較対象として使ったアナログレコードプレーヤーは、Technics SL-10というリニアトラッキング方式のコンパクトプレーヤーです。見た目はコンパクトタイプなのですが、当時のオーディオマニアなら知っている高音質レコードプレーヤーです。

 ちなみに、このSL-10の様なリニアトラッキング方式のアームは、クロストーク歪みが原理的に出にくいはずなので、このSL-10の音はとても澄んでいて高音質なのです。

  1. ELPレーザーターンテーブル(MM出力)→Accuphase C-27フォノイコライザーにMM信号入力
  2.  Technics SL-10+EPS-310MCカートリッジ(MC出力で、プレーヤーのフォノアンプはOFF)→Accupahse C-27にMC信号入力

クロストーク歪みの検証
 FFTアナライザーのPhase測定機能をつかって、それぞれのプレーヤーで再生した信号を位相グラフ表示してみました。
 その結果は、意外にもELPレーザーターンテーブルにおいても、クロストーク歪みがゼロでは無かったと言うことです。レーザーピックアップ方式なので、原理的にはクロストーク歪みは出ないと思うのですが、なぜこのような結果になったのか?
 考え得ることは、ELPレーザーターンテーブル自体が、原理的にクロストーク歪みが出てしまうという可能性。もう一つ考え得る原因は、このレコードのテスト信号自体が正確な(純粋な)クロストーク信号が記録されていないという可能性です。後者の可能性は大きいと考えられます。というのは、レコードのカッティングマシン自体が、原理的にクロストーク歪みをゼロに抑えることはできないはずだからなのです。

 したがって、ELPレーザーターンテーブルのクロストーク歪み検証は、「Technics SL-10よりは少ない」としか、言えませんでした。

補足: クロストーク歪みというのは、簡単に説明すると右チャンネルだけに音を録音して、左チャンネルは無音のレコードを再生したとき、無音であるべき左チャンネルに、右チャンネルの音が混じってしまうという、針式ならではの「濁り」です。原理的に、針式のレコードでは、この歪みをゼロにすることは不可能と考えられています。
 一方、デジタルのCDでは、このクロストーク歪みをゼロにすることが可能で、左右の音が濁らずに、分離の良い音を再生可能になります。

 

 ちなみに、サンプル音は掲載しませんが、このテストレコードに収録されていた比較音源(音楽)を、それぞれのプレーヤーで聴き比べた感想を書きます。

1. ジャズビックバンドによる「雨にぬれても」
 ELPレーザーターンテーブルとSL-10の音は、どちらも似ています。どちらかの音が明らかに優れているとは言えません。Technics SL-10の性能の素晴らしさを感じました。
 ELPレーザターンテブルの音が、どんな曲においても断然優れているとは限りません。ロックだとか、ポップスだとかの曲では、通常のアナログレコードプレーヤと比較して、それほど差が出ないという曲もあります。逆に、微妙な響きが重要となるクラシックとか、生録とかでは大きな差が出ます。

2. 蒸気機関車の生録
 ELPレーザーターンテーブルの方が、音の広がり、音場感が圧倒的に優れているのですが、ELPレーザーターンテーブルでは、途中で音飛びが発生して正常に再生することが出来ませんでした。ELPレーザーターンテーブルでは、こういう「溝との相性?」みたいな事も時々(特に古いレコードや特殊な溝のレコードで)あります。これがELPレーザーターンテーブルの最大の欠点です。

3. 打ち上げ花火の生録
 ELPレーザーターンテーブルの方が、圧倒的に音場感、余韻があり、両者の音はまるで違います。同じレコードとは思えないくらいです。

 

 

 

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