我々は皆、歳をとっています。10代や20代前半の頃に持っていたような感性は、もうありません。忙しさとか、体力の衰えとか、経済的な理由とかにこじつけて、自分の感性の劣化を黙認しがちです。私もそうです。
本日、私の工房にいらしたお客様に、「是非、アナログレコードを再び聴いてください」と話をしました。このお客様はカントゥーシャ作の楽器も使っていらっしゃる方で、音にはとても敏感な方なのです。ご自分で真空管アンプも自作して、オーディオにも拘っていらっしゃる方なのです(この夏は暑くて、部屋が真空管アンプの熱で大変だったそうです)。
ご自宅には昔収集したレコードが残っていらっしゃるらしいのですが、アナログレコードプレーヤーは処分してしまったそうで、最近はもっぱらCDだそうです。
そこで私がレコードを再生しながら、「物を取り扱う手間と魅力」について説明したところ。ご自分の高校生の頃のレコードの想い出とかを語ってくださりました。
テレビとかマスコミでは、歳をとったら、自分の周りを整理して、まるで死ぬ準備をするようにと、バカげた情報ばかりです。
違うのです。生きている間は、生きているのです。それどころか、生きている間は、常に成長し続けたいと思う努力こそが必要なのです。そのためにも失いかけている感性を取り戻さないといけないのです。
そのお客様にも、「是非、アナログレコードプレーヤーを購入して、ご自宅のレコードを聴き直してみてください」と、主張しました。お客様も、「チャレンジしようかな」との事でした。
これは弦楽器演奏でも全く同じです。歳をとったから、これで年相応で十分なのだと思ってはいけません。
関連記事:
- レコードって「大きい」みたいです
- 切手がたくさん!
- 音の本質を探る考察 ~ そんな大げさな話ではありませんが
- 若い人にとっては、レコードジャケットは「レトロ・ポスター」
- オイストラフのヴィオラ演奏を聴いた後で、続けて他の演奏を聴くと・・・