なぜ「酷い修理例」、「良くない楽器の状態例」を掲載するのか

　私は時々、「酷い修理が施されている写真」とか、「楽器の不健康な状態の写真」とかを掲載します。

　それは何も、それらの個々の楽器の事を蔑むために掲載するのではありません。その点は誤解の無いようお願いいたします。

　私が主張したいのは、「実際にそういう楽器が、想像以上にたくさん売られている」という事実です。

　そして、それはプロの演奏家も含めて、楽器の専門技術者以外には絶対に判らないのです。まして、弾いてはわかりません（専門の技術者なら、弾いても判ることも多いですが）。

　だから、個人売買で楽器を購入したり、楽器を売買するだけのようなディーラーみたいな事を行っている店からは、楽器を購入するべきではないのです。なぜなら、売った後の事まで責任をもたないで、「売買」だけ行っていますから。

　楽器は、「その後も、修理調整で末永くお世話になりたい」と思う信頼のある技術を持った店（または工房）で、紹介してもらって購入するべきなのです。逆の事も言えて、売った店は、その楽器のメンテナンスに責任を持つべきなのです。だから将来苦労するような、不健康な楽器は売らないのです。

　私が「買った店で調整してください」と言うのは、意地悪で言っているのはありません。

　楽器は弾いて選ぶのではありません。信頼している店で、紹介してもらうのです。これは弓の購入に関しても、全く同じです。パソコンやスマホに張り付いて、ネットで情報検索しているようではいけないのです。