先日、お付き合いのある業者がある比較的新しめのヴィオラを持ってきました。おそらく多少楽器に詳しい方ならご存じの製作者の作品です。しかし、ネックが大きく下がっていたのです。

 同じく、現在修理にきているヴィオラは、感心するほどの造りの良い楽器です。指板の裏側まで、とても丁寧な加工が施されています。しかし、これもネックが大きく下がってしまっています。

 どちらの楽器も、元々低くセッティングされたわけでは無くて、下がってしまったのです。それは駒の具合から判ります。

 この2本の楽器が特別悪いのでは無くて、多くの楽器ってそんなものです。

 ところが、カントゥーシャ作の楽器って、数十年経っている楽器でも、大きくネックが下がっている楽器を、私は見たことがありません。それは、彼の製作の理論が「理」にかなっているのです。だからネックが下がりにくいのです。

 カントゥーシャ作の楽器の音が良いという理由は、こういう構造的な「理」がきちんと確保されている楽器だから、その結果の音響的な音も当然良いのです。簡単に説明するならば、「軽いのに、構造的に強い」のです。

 つくづく感心します。私はこんな凄い人の元で勉強できて、ほんとうにラッキーでした。

 余談になりますが、「カントゥーシャ」という名の製作者は、息子さんが既に亡くなっているので、もう途絶えてしまったのです。残念です。

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