皆さんの中には、私が今回のコロナ禍で、急に思いたって防湿庫を作り始めたと思われている方も多いと思います。

 半分はその通りなのですが、ずっと前から「やらねば」と、真剣に考えていた事だったのです。

 というのは、私の工房にて楽器を購入してくださったお客様と、購入後のメンテナンス、調整、修理などの時に様々な質問を受けたり、または私がアドバイスをしたり、色々会話をしてきました。
 その中での私の一つのアドバイスが、「・・・そういう時は、防湿庫で保管するというのも良いと思いますよ」という内容でした。事実、数名の方はご自分で防湿庫を導入して活用しています。

 ところが、残念ながら既製品の中には、専門家の私が考える「お勧めの」楽器保管用の防湿庫がありません。だから私自身、中途半端な(無責任な?)アドバイスをしていると、いつもモヤモヤした気持ちで会話をしていたのです。

 そこで今回のコロナ禍で少しまとまった時間が出来たので(実際にトラブルが生じた方も頻発したこともあって)、長年のアイデアを具現化したのです。長年アイデアを練っていたので、具体的に何が必要なのかは明確に決まっていました。あとは製作の試行錯誤だけでした。

 さて、ようやく私が納得できる楽器保管防湿庫を完成させて、そういう会話をしたお客様に連絡をして、これで「防湿庫活用の提案」に関しての私の責任は果たせたのではないかと思っています。

 今回製作した楽器保管用の防湿庫を継続して販売することはないでしょう。とても手間ばかりかかって、損はしても儲けはでませんから(販売価格が凄く高かったら見向きもされませんし)。だから私の工房にて楽器を購入されたお客様以外は、対象外なのです。

 私を信用してくださって、私から楽器を購入してくださった方への恩返しのつもりです(そのお客様が、必要としているか、必要としていないかは別として)。

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