オイストラフのレコードがどんどん増えています。

 最初は「オイストラフのヴァイオリンの音って、なんて凄いのだろう!」くらいの、軽い気持ちでオイストラフのレコードを数枚購入しました。しかし、聴けば聴くほど、購入すれば購入しただけ、奥深さが見えてきたのです。

 それで同じ録音のレコードを何枚も買い集めたり、高価なオリジナル盤を購入して音質を追求してみたり・・・。

 そうしている内に、オイストラフのレコードもそこそこ枚数が増えました。そうして感じたのは、「オイストラフの音と一言で言っても、色々ある」という感想でした。

 その理由は大きく分類すると次の理由と推測できます。
・オイストラフ自身の演奏技法の変化
・楽器の変化
・弓の変化
・録音技術の進歩
・指揮者やオーケストラによる違い
・商業主義、政治的な意味合いでの変化
・レコード製造の国や、製造年。劣化の度合い。

 そこで、まだ全てではありませんが、いくつかのレコードの録音年だとか調べて、あらためて一覧にまとめて見ました。そうしたら当然ですが、1950年代中期の録音と、1960年代の録音とのレコードの音質(録音品質)の差が明確に見えてきました。

 演奏技法の変化については、演奏の素人の私にはわかりませんが、音のダイナミクスに関しては、1950年代中期と、その数年後(1950年代後期)とでは変わったように感じます。オーディ的な意味での録音品質が上がったから、微妙な音が感じ取れてそう感じるのかもしれませんが、もしかしたら弓や楽器のクオリティが上がったからかもしれません。あくまでも推測ですが。

 今後、オイストラフの使っている楽器の特徴を様々な写真(レコードのオリジナルジャケットも含めて)から、分類できないものか? とも考えています。

 話は戻りますが、レコードの録音年を把握しながらレコードを聴くと、音質の理解力がとても深まるという、当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんが、興味深い体験ができました。

 

蛇足:オイストラフ演奏のシベリウスVn協奏曲は「ロジェストヴェンスキー指揮、モスクワ放送交響楽団」と、「エールリンク指揮、ストックホルム祝祭管弦楽団」が有名です。共に素晴らしい演奏だと思います。
 両録音においてのオイストラフの演奏がとても似ているので、私はてっきり近い年代の録音だとばかり思い込んでいました。ところが、「モスクワ」は、1965年録音で、「ストックホルム」は、なんと1954年の録音だったのです。11年も差がありました。だからストックホルムの音質は劣っていたのです(オーディオ的な意味で)。
 

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