私は以前から、「演奏者としてのオーディオ」を勧めています。

 音楽の曲って、音質的な意味での良い音でなくても聴くことが出来ます。これは会話も同じです。

 例えば、走行中に聴いている音楽とか会話について、「あああ~っ!雑音が大きすぎて曲が正確に聞こえないよ!」って文句を言っている人はほとんどいないのです。何となく聴いていますし、何となく聴いたつもりになっています。

 ところがどうでしょう、走行中に聴いていたオケの、コントラバスのピッツィカートとか、ヴィオラの音って聞こえていましたか? おそらくヴァイオリンの旋律とか、トランペットの音とか、際だった旋律に意識を集中していたはずなのです。その証拠に、車が信号で止まったときに、走行中に聞こえなかった楽器の音が聞こえると思います。

 これはテレビの音質でも同じです。多くの方は本当の音を聴いていなくても、音楽を聴いている気になっているのです。しかしそれでは本来の演奏者の音を聴かずに(知らずに)、勿体ないことをしているのです。

 それでは私がお勧めする「オーディオの音質」の簡単なチェックポイントは何かというと、先にも書きましたように、「コントラバスのピッツィカート」とか「ベースライン」がきちんと聴き取れているかという点です。ヴァイオリンなどでも低域の「楽器本体の豊かな響き」が出ているかがチェックポイントです。
 一方、高域の音に関しては、ほとんどの場合にはそこそこ再生出来ています。

 

 この「演奏者としてのオーディオ」の延長にあるのが「良い楽器」です。多くの方は、本当に良い楽器の音を知らなさすぎます。なにも数千万円とか数億円とかの名器の話ではないのです。

 皆さん、是非とも「演奏者としてのオーディオ」にもお金を掛けてください。見える物が違ってきますから。

関連記事: