こういうと高飛車に感じる方も多いと思いますが、私は製作技術、調整技術には的を射たレベルの物と、的を射ていない低レベル(一般の人には判りません)の物が存在すると感じています。

 「的を射た」というのは、各要素の精度(または効果)を目標値範囲の”0″に近づける作業です。すなわち、その総合性能は、各要素における誤差のかけ算になるのです。

 一方、「的を射ていない」、すなわち技術レベルのさほど高くない技術(下手というわけでないのです)では、各要素のずれ値はランダムにばらついています。

 さてここからが本題です。

 調整からある程度時間が経ったときの「調整の崩れ」を考察すると、的を射た狙った調整ほど、調整の崩れを実感することが出来て、逆にアバウトな調整ほど崩れは誤差の範囲に吸収されてしまい、調整の崩れとして見えてこないのです。 

 例えるのなら、純白な壁は汚れが見えやすいのに対して、最初から汚れているような壁は多少の汚れは気にならないのと同じです。または、山の山頂に立ったとき、そこから10m移動しただけで高低差を感じるのに対して、麓で10m移動しても大した高低差を感じないのと同じです。

 だから私が「調整は定期的にいらしてください」とお願いしているのも、調整の崩れを防止するためなのです。

 一例ですが、私の調整では肩当てのゴムパッドを張り替えたりして改造するのですが、このゴムパッドが劣化(硬化)することで音は確実に劣化します。だから時々、お金はかかりますが、張り替え作業をしたりしなければならないのです。この「調整の崩れ」を感じるのは、悪い意味では無くて、狙った調整をしている証でもあるわけです。

 だから是非、調整にはいらしてください。

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