先日お客様と、楽器の調整において、「音(音色)」について会話しました。しかし、何となくの会話でしたらなんてことはないのですが、一歩突き詰めた話となると、音色を言葉で表現するのはとても難しいことなのです。
例えば「硬い」とか「柔らかい」とか、「明るい」とか、人によっては全く逆の解釈をすることもあるのです。今回のお客様とも、そういう内容の話しになりました。
特に弦楽器の場合には、聴く側からの音の解釈と、演奏する発音特性が聴覚と混在した音の解釈が両側から混じり合った物が、音の理解となります。すなわち、楽器から出る音をマイクロフォンで計測しただけの、単純なはなしではないのです。
さらに面倒なのは、演奏者側の大きな「自分の演奏という行動への主観」も入り込んでいます。
だからさらに複雑なのです。
結局のところ答えはないのですが、唯一の客観性と平等性を兼ね備えた表現は、「物理(音響)」的なアプローチだと思うのです。もちろん音響学で解釈できる音は、演奏のほんの一部ではあります。先ほど述べました「演奏者側の発音の感じ方」を音響学的に解釈するのは事実上困難です。
しかし、「物理(音響)」は万国共通です。これは重要な表現方法の一つです。
その入り口として、「演奏者としてのオーディオ」が有効であると私は推奨しているのです。
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