最近の殆ど方は高学歴です。さらにインターネットの普及によって、様々な情報を入手可能になりました。だからどうしても、自己中の考え方になりがちなのです。そして、他人に影響されることをとても怖がります。

「矯正」などという言葉は、詐欺師に引っかかるような危険性も感じることでしょう。

 しかし私が正直に言います。正しい矯正とは、自分が自分の殻を破るために、絶対に必要なことだからです。歯の矯正治療を否定的に考える人は少ないはずです(治療費とか治療期間の問題は別として)。

 「矯正」は「強制」とは全く別なのです。

 なぜこんな「矯正」なんて事を改めて書いているのかというと、私の工房にて良い弓を購入された方は、その場ではガラリと演奏(ボウイングの根本的運動)が変わって音が激変するのです。

 しかし、自我というものはとても頑固なもので、自宅に戻ってしまうとどうしても今までの自分の弾き方に戻ってしまう方も多いのです。特に、弓購入後に私の工房に長らくいらっしゃらなくなった方にその傾向はあります。

 つい先日にも、以前私の工房にて良い楽器と弓を購入された若い演奏者(購入された時には音大生?)の方が久しぶりにいらっしゃいました。この方は海外在住の方なので、コロナ禍日本に来ることが出来なかったからです。

 楽器と弓の修理・調整の出来に喜んではくださっていたのですが、私はその出ている音がイマイチだと感じました。演奏がスラスラと表面的だったので、圧がかかっていなくて、音の抑揚(ダイナミックレンジ)や音(弓)の溜めが感じられなかったからです。

 そこで弓の試奏の時にいつもアドバイスするような、ちょっとした「圧」に対してアドバイスをしたところ、音は激変しました。元々上手な方なので、ちょっとしたきっかけで音は激変するのです。

 逆の事も言えて、せっかく私の工房にて良い弓や楽器を購入されても、今までの弾き方に戻ってしまっては、せっかくの道具の効力が発揮されないのです。

 上手な方でさえそうなのです。

 だから定期的に私の工房にいらして、私のアドバイス(技術や考え方)を引き出してください。せっかく私の工房に高いお金を払ったわけですから、その元を取るくらいの貪欲さが必要です。

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