私の工房のあるお客様はアマオケのコンミスなのですが、今回の演奏会の演目は長大ソロ演奏がある曲ということで、聴きに行きました。
素晴らしい演奏でした。
音に艶を感じました。色気と言っても良いと思います。演奏を聴きながら、その艶の要因を考えていました。
それは摩擦が途切れていないので、音が擦れていないからなのです。ffはもちろん、ppでも擦れていません。だから音に艶、色気を感じるのです。
なぜ摩擦が途切れていないのかというと、「弓の性能の良さ」そして「理にかなったヴィブラート」からなのです。
プロの演奏者でも、勘違いした弓による、勘違いしたヴィブラート(痙攣ヴィブラートで楽器が縦にブレる)を迫力のあるヴィブラートと思い込んでいる人がとてお多いです。そういう人の音は「カッカッカッ」って鳴る(弓が跳ねる)ので、艶が感じられないのです。
演奏を聴きながら、「素晴らしい音とは、理にかなった物理運動からのみ生まれる」とつくづく感じました。
オケも上手でした。素晴らしい!
追記;その演奏会後、その工房のお客様からお礼のメールが届きました。色々な方からお褒めの言葉を頂いたとか、楽器の音についても多くの方からお褒めいただいたとか(私の工房でお売りした楽器なのです)。
しかし、弓の性能の良さに気づいた観客が何人いたことでしょう。あの素晴らしい演奏は、弓の性能ありきのボウイング(運動)なのです。楽器からの音は、その次に来るのです。まして楽器の銘柄なんてどうでもよいこと。
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