最近、弟子の川口君が立て続きにビデオ撮影を行う機会がありまして、撮影機材を貸してあげたのです。そこで「録音品質の重要性」についても説明しました。特に我々は音の専門家なので、音質に関しては人一倍の拘りがなければならないのです。

 そこで私が所有している高性能なマイクも貸そうと思ったのですが、人の道具を使うのと、自分の道具を使うのとでは、意識も興味も、取り扱い方も違ってくるので、いっそのことこの機会に川口君に中古のマイクロフォンを買ってあげることにしました。

 そこでたまたま近所(中野)の中古ビデオ・音響ショップで売っていたAKG C3000Bというマイクを購入したのです。さっそく川口君にあげる前に、自分で音質のチェックをしたところ、帯域が狭すぎてイマイチです。これで満足してしまったら、私の工房で学ぶべき音の品質の妨げにさえなりかねません。

 そこで、せっかく買ったばかりのそのマイクを、その半額近い値段で売却。

 それで結局、私が使っていたAKG C414XLIIという高性能なマイクロフォンをあげることにしました。

 後日、そのマイクロフォンも使って、コーラスのビデオ撮影を行ってきたのですが、その音質の違いに驚いていたのと同時に、「自分でも、良い道具を使えばこんな撮影(録音)が意外と簡単にできるんだ」という発見もあったそうです。このような意識が、弦楽器製作関連の技術にも繋がるはずです。

 弟子を育てるのにも、お金が掛かるのです。ほんと。

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