私はこれまでかなりの時間もお金もかけて、弦楽器製作工程映像を撮り続け、そしてビデオディスクとして販売してきました。

 なぜ私がここまで、技術映像制作に拘っているのか?

 時々、「佐々木さんの趣味の撮影の延長ですか?」みたいな事を言われることがありますが、とんでもないです。趣味でなんか、こんな大変でお金もかかることは、とてもともてできません。自分自身で苦痛なくらい、大変な作業なのです。

 私がここまで技術映像に拘っているのは、「技術」というものを具体的に表現することによって、少しでも「技術」というものを理解してもらい、そして結果として、その高品質な技術を買ってもらったり、または若い職人達の刺激になるきっかけとなったり、または自分自身の刺激になるものを作りたいからなのです。「残したいからなのです」と言ってもよいかもしれません。

 本来なら、「できあがった商品を見れば、誰にでも技術は判る」というのが理想ではあります。しかし残念ながら、現実はそうではありません。だから私は、私なりに誰にでも理解しやすい「視覚情報(映像)」として、弦楽器製作工程を撮影しているのです。

 脚色しない、嘘の無い、素の映像を。

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