ヴァイオリンまたはヴィオラの持ち方(構え方)には、皆さん苦労してることと思います。持ち方が悪いと、ボウイングが正しく行うことが出来なくなって、良い音がでないという事だけでなく、最悪の場合には身体を傷めてしまいます。

 事実、ある程度の年齢の方で、ヴァイオリンで首、肩、背骨を傷めてしまっている方は結構多いのです。

 このような楽器の構え方の重要性から、さまざまな「楽器の構え方の理論や教本」が存在しているのは皆残ご存じと思います。ヴァイオリンの先生の数だけ、構え方の理論(教え方)が存在すると言っても、決して過言では無いと思います。

 ところが、その中で「科学的な根拠」をもったものが、一体どれほどあるというのでしょうか? 逆の事を言うのならば、科学的根拠を兼ね備えた理論ならば、これほど教え方の理論にバラツキがあるというのはおかしいのです。

 私は常に、「演奏はスポーツ界を見習うべき」と主張しています。なぜならば、演奏とスポーツ(運動)には大きな共通点があるからです。誤解も覚悟の上で言い切るのならば、「演奏とスポーツとは同じである」とさえも言えると思うのです。

 さて、表題では「ヴァイオリンと柔道とは大きな共通点があります」と書きましたが、これはスポーツの中の一例を取り上げただけで、別に柔道でなくても良いのです。

 その「大きな共通点」とは何かというと、「柔道の技には、科学的な根拠がちゃんと含まれている」という事なのです。逆の事を言えば、力だけで大きな人は絶対に投げられないという事実です。さらに言えば、強引な力だけの柔道を行っている人は、身体を壊してしまいます。

 それでは「技の科学的な根拠」とは何かというと、「てこの原理」、「重心の理解」、「筋肉の動かし方」、等々です。物理学の話であり、生物学の話なのです。これは弦楽器演奏でも全く同じです。そしてそれらはきちんと説明、そして実行することができます。

 重要なのは、「聴く耳を持っているのか?」という事と、「自分自身を変えようとする気持ちがあるのか?」という問題です。薄っぺらなプライドがある人は、それが一番の障壁なのです。

 さてそれでは、「理にかなった運動(すなわち演奏)」ができている人は、どんな感じか?というと、見ていて、その姿が美しいのです。これは初級者から、名人まで共通する光景です。それはスポーツでも全く同じです。

 「美しさ」とは、音だけでなく、見た目としても、追い求めるものなのです。

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