先日、「撮影にこだわる」という内容のことを書きました。今回はその具体的なポイントを書きます。
 最近のデジカメは性能が良くなったので、どんなカメラで撮ってもそこそこの品質の写真にはなります。しかし、「そこそこ」の品質の写真は、そこそこの使い道しか生まれないのも事実です。
 弦楽器の商品(または資料)撮影は芸術写真ではありません。内容をいかに正確に、つまらなく写すことこそが重要なのです。芸術的要素やおもしろさ、意表をついた撮影とは無縁です。
 そのような撮影で重要なポイントは、「写真撮影」を知っている人には当たり前のことですが、
・かならず三脚を使う。
・デジタルカメラは可能な限り高性能な物を使う。
・レンズは中望遠レンズを使い、近距離から撮影しない(楽器が歪んで写る)。
・シャッターぶれを起こさないために、ミラーアップ撮影を行う。
・楽器全体に光りを安定してあてるために、「スタジオストロボ(モノブロックで十分)」を使う。
・楽器の背景は、画像切り抜き処理の時に影響がとても大きいので、専用の背景紙(グラペなど)を使う。
・楽器撮影時に、必ずマクベスチャートも写し込んでおく。
・撮影後のカラーマネジメント機材(i1カラーマネジメントなど)をけちらない(ケチると時間を無駄にします)。
・工房の照明は色評価用の蛍光灯に統一する。
 こんな感じです。
 
 素人がヴァイオリンを撮影するには大げさに思うかもしれません。しかし、結局はこのようにしっかりした定番の撮影方法を採った方が、後々時間の無駄にならないのです。
 蛇足になりますが、弦楽器の表面は非常に複雑な曲線をしています。いざ強い光を当てて撮影しようとすると、思いがけないところにテカリが出てしまうのです。いかに楽器にテカリを出さずに、しかし楽器全体に光りを回すかが腕の見せ所です(もちろん私が行っているのは「素人撮影の中では本格的」くらいのレベルですが)。
 ストロボ光によるテカリを意図的にコントロールするためには、スタジオストロボ(モノブロックタイプという簡易スタジオストロボで十分です)に付いている「モデリングランプ」という補助ランプを利用します。
 弦楽器もそうですが、本格的な道具(機材)って、結局は効率的で、最終的には元が取れます(金銭的にではないですが)。中には僻みで「素人なのにそんな良い機材(楽器)を・・」と言う人もいますが、言いたい人には言わせとけば良いのです。自分が納得して使うことこそが重要です。

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