かなり多くの人(特に自分に自信のある楽器オタク系の人)が、楽器の作りが悪くて箱鳴りしている楽器を、発音が良くて良い響きがすると勘違いしています。多くの同業技術者さえもそうです。
「良い響き」と「響かない箱鳴り」との違いは何かというと、色々な細かな要素が沢山あるので一言では言えませんが、強いて一言で表現するのならば、音が「飽和」してしまっているかどうかなのです。音響的な表現をするのなら、「ダイナミックレンジ」です。
本来の楽器とは「振動板を振動させる行為」なのです。しかし箱鳴りの楽器の場合、「振動板(楽器筐体)が、ある共鳴振動で鳴ってしまう状態」です。本来ならば空気の振動(外への振動)を行いたいエネルギーが、内側に吸い取られるイメージです。
この話をするためには、「(真の意味での)性能の良い弓」無しには説明できないのです。
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