以前から「レコードと比べてCDの音が悪い」という人がいます。そしてその理由は、「CDは約20KHzで倍音がぶつ切れにカットされるから、違和感が生じる」という説明です。または「デジタルは、アナログ音と違って、16bitのギザギザの寄せ集め情報だから違和感がある」という、どちからの説明です。

 理論的には、その通りです。しかし、それを正確に聞き分ける能力(聴覚)が、そう言っている方に本当にあるでしょうか?

 例えば、オーディオ雑誌で様々な能書きをたれている「先生方」はじいさんばかりです。本当に、耳が聞こえているの?って、疑ってしまいます。その証拠に、私は自分自身の聴覚の衰えを実際に測定して知っていますので、20KHz以上が聞こえないのは当然として、15KHz位までしか聞こえていないと自覚しています(今はもっと衰えているかも)。

 しかし、それが普通なのです。老眼と同じで、10代の若者でもなければ、聴覚の衰えも当然起きるのです。

 先日、お客様と一緒に工房に来た「自称大先生」が、耳が遠くなって他人との会話もままならないのに、自分のプライドだけを頼りに、楽器の音色の事をゴタゴタ言っていました。哀れに感じました。

 話が脱線しましたが、CDの音も、レコードの音も、フォーマット的には十分高性能です。それどころか、FM放送の音だって、SPレコードの音だって、なかなかの高音質なのです。

 頭でっかちになって、「超高倍音成分が」とか言っているのは、自分で気持ちが良いかも知れません。しかし、まずは自分の耳の聴力測定ををして、さらに、実際の楽器の周波数特性を調べて、そしてさらに録音後の周波数特性も調べて、次に高音質のオーディオ装置で再生して、そしてその音を科学的に測定検証して、はじめて「CDの音は・・・」と言う権利ができるのです。

 大した検証もしないで「CDの音は悪い」なんて言っている人は、「お気軽でいいなあ」と羨ましささえ感じます。これは弦楽器においても、全く同じです。

 「円周率で一番重要なのは、小数点10桁の値では無く、”3″なのです」

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