私の工房でオーディオ装置から出る音を聴いて、多くの方が「音が良い」という感想をおっしゃります。これは、オーディオの専門家のELP社の方もそうおっしゃっていました。

 もちろん、工房にいらっしゃるほとんどのお客様のオーディオ装置よりも、より質の高いオーディオ装置を揃えているということも理由の理由の一つです。しかし、ハイエンドオーディオ装置を揃えているオーディオマニアの方々からすると、「並(以下)」でしかありません。

 なぜ私の工房で流れる音楽は良いのかというと、それは「工房」だからなのです。音や木材を扱っている工房だけに、カーペットだとか、本棚とか、ソファとか、そういう一般の方々の生活環境とは異なった室内なのです。だから、音が良いのです。

 また、木くずの香りとか、ニスの香り、松脂の香り、または修理中の楽器があったりと、そういう視覚、臭覚的な要因も大きいかもしれません。

 もう一つは、私が楽器を扱う職人なので、オーディオ装置から出る音に対して、オカルト的な偏見を持たずに、余裕があることも一因だと思います。「これは作業用のBGM程度に、気軽に流していますよ」という感じです。力が抜けていると、良いものが生まれるのです。

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