先日、レオニード・コーガン演奏の「チャイコフスキーVn協奏曲」の一部分をアップロードしました。皆さんの中には、「ゲット」した限定レコードの自慢を、またはELPレーザーターンテーブルの自慢とを書いているのだと思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私はそんな暇でもないのです。

 このアップロードした演奏は、良いヴァイオリンの音色を分割して表現したような特徴が出ているのです。だからわざわざアップロードしました。もちろん、コーガンの演奏の凄さも紹介していますが。

 ヴァイオリンの(ヴィオラやチェロも)音を聴くとき、どうしても旋律を請け負う高い周波数の音を追いがちです。しかし良い楽器は、同時に低い「箱」の音も響いているのです。

 このチャイコフスキーVn協奏曲を聴くと、コーガンが、旋律を軽やかに弾きながら、低音を丁寧に、余韻を響かせながら演奏しているのが判ります。この「箱の余韻(響き)」が、旋律を包み込むのです。

 良くない楽器の場合、この辺りが「鼻が詰まった感じ」の音になってしまいますし、同じ演奏であったとしても、安っぽく、簡易的な再生装置で聴いてしまうと、旋律ばかりが強調された音楽に聞こえてしまいます。

 もう一度、コーガンの演奏の、旋律以外の音を意識して聴いてみてください。また、少しでも良い再生装置で聞き直してみてください。印象ががらりと変わるはずですから。

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