私の工房にて以前に弓を購入してくださったチェロのお客様が、「久しぶりに以前使っていた弓で弾いてみたら、とても弾けたものではなくて、以前にこの弓でさほど不自由なく弾いていた自分が不思議なくらいです」と述べられました。

 その通りで、このような感想をおっしゃる方はとても多いです。

 それで弓の性能の話というか、雑談をしているときに、「他人(プロの演奏家も含め)の演奏の、弓先のボウイングが見えるようになった」とも述べられたのです。

 「見えるようになった」という感覚はとても大切です。それは「理解」という事だからです。まずは脳が理解できていないで、行動(運動)が行えるようになることは、まぐれ以外ではあり得ないことだからです。

 「見えるようになった」とは、なんて素晴らしい事でしょうか。

 例えば、先日私が、「タイガー保温ポット式コーヒーメーカーの劣化」という記事を書いたのを覚えていらっしゃるでしょうか?殆どの方は、単なるコーヒーメーカが壊れたという意味に捉えていると思いますが、実は私が行っている事は、「起こった現象を理解する努力」という事なのです。これは演奏の努力とほとんど同じ事を指しています。

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