以前から何度か紹介している「ヤノフスキ&ベルリン放送交響楽団 のワーグナー全集」って、本当に素晴らしいCD集なので、是非購入して聴いてみてください。お勧めです。

 先日STAXのヘッドフォンを購入して、色々と聴き比べを行ったのですが、この「ヤノフスキ&ベルリン放送交響楽団 のワーグナー全集」の曲も聴きました。

 ヤノフスキ&ベルリン放送交響楽団 による「タンホイザー序曲」と、カラヤン&ベルリンフィルによる「タンホイザー序曲」を聴き比べたのですが、演奏が全く違って興味深い比較でした。

 カラヤンの演奏は、良いも悪いもまさに「カラヤン劇場」です。もちろん素晴らしい演奏です。しかし、「序曲」ではないのです。もはや、タンホイザーのフィナーレと勘違いしてしまうくらいの抑揚ぶりです。

 一方、ヤノフスキ&ベルリン放送交響楽団の演奏は、あくまでも「序曲」としての演奏です。極上物の「前菜」メニューと例えても良いと思います。その後の演奏を期待させる一方で、決して手を抜いていないのです。オケの演奏技術も素晴らしいです。

 例えば、タンホイザー序曲の前半のトローンボーンによる大盛り上がり中ので、弦が細かい伴奏を「タラ(休符)、タラ(休符)、タラ(休符)・・・」と演奏しています。これがカラヤンや、多くの演奏においては、盛り上がりすぎて付点のような「タラッ(休符)、タラッ(休符)、タラッ(休符)・・・」となりがちです。
 しかしヤノフスキ&ベルリン放送交響楽団 の演奏では楽譜に忠実なのです。なぜならば、その後の2時間の演奏に向けての「序曲」を演奏しているからなのです。

 実に興味深いCD集ですよ。

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