先日、ヴァイオリン用のチタンアジャスターの検証をしました。チタン製の軽量アジャスターは、もう何年も前から存在しています。私も何度か装着したことがありました。

 今回は以前とは別のタイプのチタン製アジャスターでしたので、音の再確認をしたのです。

 アジャスターに限りませんが、私は楽器において、どこにどのくらいの質量だとか負荷をかけると、どのような音の変化が生じるのかという、ある程度の予想ができます。7~8割は予想できます。

 ところが今回のアジャスター装着による結果は、私の予想とは違っていたのです。ちょっと驚きました(音が良いとか悪いとか、そういう意味とは違います)。

 そこで色々とその原因を考えて、私の頭の中で構築していた「振動のモデル」を修正したり、再構築したりしたのですが、調整技術という「現実」は想像の範囲に留まっていないので、とても奥深く、興味が尽きることはありません。

 なぜ音が私の想像と大きく違ったのかに関しては、私の技術ノウハウになるので詳しく説明はしませんが、「アジャスターの構造」と「装着方法」が影響したというのが私の結論です。

 逆の事も言えて、装着方法で音のコントロールもできるわけです。だたし、ほんの僅かな効果の話なので、良い楽器でしか効果は現れないかもしれません。
 レーシングカーでは、例えばウイング角度調整ネジ(またはサスペンション調整ネジ)のわずか半周りだけの調整でも、タイムが大きく違ってくるらしいです。しかし、一般乗用車で同じ事を行っても、「誤差の範囲」で走りにはほとんど影響しないです。それと同じ事です。これは、高級オーディオケーブルでも同じです。「気分的なもの」は別の話になります。

 従って、チタン製のアジャスターを装着したら、楽器の性能が劇的に上がるという事は絶対にありませんので、その点は誤解の無いようにお願いいたします。まずは楽器本体や弓そのものの向上(グレードアップ)の方がよほど効果的であり、行うべき事です。

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