楽器保管防湿庫の要部分は、楽器を吊す部分です。多くの方はその重要性が判っていないかもしれませんが、この部分がいい加減だと、楽器が落ちてしまったり、または楽器を吊そうとして旨く引っかからずに、落としてしまったりするのです。
ちょっとした「塩梅」が重要なのです。
例えば、このリング部分の加工も、最初は左のように曲げて作りました。ところがこの方法だと、加工工程上、どうしても高さが出てしまいます。それでは大きなヴィオラを吊すときに、下に余裕が出来ません。またはヴァイオリンの場合でも、カメラなどを余裕を持って置けません。
楽器は天井部に適度な余裕を持たせながら、あまり下には吊したくないのです。
そこで二度の改良の末、右側のような構造にしました。これだと1cm弱短くなるのです。すなわち下部に1cm弱の余裕が生まれます。たった1cm弱の話ですが、それもプロの拘りです。
ちなみに、溶接には、Orion精密アークスポット溶接機が大活躍しました。
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