「音」の周波数帯域の中で、どの辺りの周波数帯が人間にとっての「良い音」に大きく関わっていると思いますか?

 「良い楽器」の音質って、どの周波数帯域の特性が重要だと思いますか?

 もちろん「全て」ではあるのですが、「強いてどこ?」と言われて、的確な返答を出来る人はそうはいません。特に楽器についてはそうです。

 しかし、あくまでも私の答えですが、とても単純です。それは「人間が一番敏感に感じ、そして一番聞き取りやすい周波数帯域」なのです。

 楽器でも、オーディオでも、音響性能として一番重要な部分は、人間が一番聞き取りやすい周波数帯域です。何も超高周波とかではありません。超低周波音でもありません。具体的に書くと、20Hz~2KHz(~5KHz)くらいです。

 「そんなの当たり前でしょう?」とツッコミがあるかもしれません。しかし、当たり前の部分が、当たり前に一番重要な部分なのです。

 円周率で例えるのなら、小数点第十桁の値よりも、一番最初の「3」の値の方が遙かに重要なのです。

 ところがそんな当たり前の部分に、単純に耳を傾けている人って意外と少ないです。もっと難しい部分の考察を、一生懸命行っています。逆の事も言えて、当たり前の基本部分の音が悪いのに、応用部分の音を追求するというのは、まったくもってナンセンスなのです。

 こうした見方をしていくと、良い楽器の音響の形も見えてきます。数10Hz~1KHzくらいで大きな暴れ(大きな共鳴ポイント)が無い(少ない)楽器は、素直な発音をします。だからレスポンスに優れているのです。ただ、こういう感覚って、本当に良い楽器を弾かなければ(正確に言えば所有しなければ)判らないと思います。

 しかし、良い楽器をそう簡単に購入したり、経験して練習していく事は難しいのですが、オーディオならば簡単なのです。なぜ「演奏者としてのオーディオ」という物が、もっと重要視されないのでしょうか?

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