ネットニュースで、「技術者不足から、人材の引き抜きが多くなっている」との記事がありました。自動車整備士などの技術者を志す若者が少なくなって、業界が人材不足になっているそうなのです。

 私も以前から、同じ事をこの弦楽器業界においても警告しています。

 今、当たり前のように修理や調整を依頼していた楽器店(または工房)が、数年後に当たり前に存在しているとは限らないのです。なぜなら、技術者の人材不足は、確実に進行しているからです。

 例えば、私の工房にも修理の依頼の電話があったりしますが、お断りすることもあります(なぜお断りするかは、諸条件とか、その時の私の扱っている業務量などで異なります)。そうすると、自分の主張が通らなくて、電話口で怒りまくる人も多いのです。

 「技術」が、お金さえ払えば安易に手に入る時代では無くなってきているのです。それは、何度でも言いますが人材不足からきています。特に「優秀な若い人材」は希少です。

 これは決して大げさな話では無くて、本気で忠告します。

 将来にわたってお世話になりたいと思う技術力の楽器店(または工房)に、お金を落としてください。すなわち、そこで楽器や弓やケースなどを購入してください。そのお金で、その店の経営が成り立ち、そしてその店で働く技術力のある経営者や技術者が生き延びることができるのです。

 さらにそういう素晴らしい楽器店(または工房)では、お金を掛けて人材育成を行います。そのための資金にもなるのです。

 これを私の工房の話しと思う必要はありません。なぜなら、このネット記事を読んでいるほとんどの方は、私とは将来にわたってご縁はないとおもいます。私が言いたいのは、「あなたが大切に思う(すなわちあなたにとってメリットのある)技術者を、あなたのお金で育てて欲しい」という事なのです。

 ボランティアとかの話では無くて、あなたのメリットのためです。通販業者から買ってはダメです。それらの通販業者が、いざとなったときに何をしてくれるでしょうか?

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