バスケットのドリブルでも、鞠つきでもよいので、その光景を想像してみてください。

 小さな子供だとか初級者のドリブル(鞠つき)って、手(腕)を大きく動かしながらボールをついています。

 一方、NBAのバスケットボール選手などのドリブルって、腕はほとんど動いていないのに、高速でボールが動いています。

 この違いは、ボールの運動のどのタイミングでボールに力を加えているのかという違いです。
 前記の子供の鞠つきでは、ボールの運動の最上昇点でボールに力を加えようとしていますが、ボールの自然落下のスピードが速いので、ボールを追うような力の加え方をしています。
 一方、バスケットボールの選手のドリブルは、ボールが上昇している段階で既にボールの強い運動エネルギー(圧力)を上手に受け止めて、小さな動きでそれを反対方向のつく運動へと変換しています。一見したところ動きが小さいのに、力強いのです。

 子供の鞠つきは、ボールから受ける圧力はとてもちいさく、鞠つき運動(スピード)は大きいです。一方、バスケットボール選手のドリブルは、ボールから受ける圧力が高く、しかしボールつき運動は小さい(コンパクト)です。

 これはボウイングにおいても近いものを感じます。また、テコの原理の支点と力点との距離における手に受ける抵抗とも似ています。

 例えば弓の性能が低くて、原理的に圧力が掛けられない弓の場合には、どうしても指板寄りを速いスピードで、大きな運動の演奏を行います。だから演奏が本人の演奏への必死さと裏腹に、バタバタ暴れてしまうのです。一生懸命弾くほどに暴れます。

 一方、弓の性能が高くて原理的に圧力を掛けられる弓の場合には、駒寄りを、小さな弓の運動でも大きな音が出せます。それはまるでバスケットボール選手の高速で安定したドリブルをかんじさせるような演奏にも感じられるのです。演奏がバタバタしていないのです。

 バスケットボールが身近にあったら、上記二種類のドリブルにおける「ボールから受ける抵抗感」を感じてみてください。これって、演奏の弦から受ける抵抗感と全く同じですから。

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