時々ご自分で、駒の弦溝に鉛筆の芯を塗り込んでいる人がいます。弦の滑りが良くなることを期待しての事だと思います。
その是非に関して、私がどうこう言うつもりはありません。しかし、ほとんどのその手の「素人施工」は、楽器を汚くしてしまっていることが気になる点です。
具体的には、弦の溝だけに鉛筆の芯を塗るだけでしたら、私は悪いこととは思いません。しかし、溝以外の部分にも鉛筆を塗ってしまっているので、駒の弦付近が鉛筆で黒く汚れてしまっているのです。これは音には直接関係ないとは言え、あまり良いこととは言えません。
もしも鉛筆の芯を塗り込むのでしたら、弦溝だけに丁寧に塗るべきです。
さて本題です。駒の弦溝に鉛筆の芯を塗り込む意味があるのか? というと、正直なところ、効果はあまりないと私は感じています。というのは、駒の材質は柔らかいので、弦は溝の上を滑らないからです(弦の巻き線が駒の材質を噛んで、駒を前側(糸巻き側)に倒していきます)。
一方、上駒(オーバーザッテル、ナット)の弦溝に鉛筆を塗るのは、効果的と思われます。上駒の溝は硬く、そして長いので弦の巻き線の引っかかりが生じやすいからです。
もっとも、駒に鉛筆の芯を塗り込む効果がゼロと言うつもりはありませんし、塗ってはいけないと言うつもりもありません。
ただし、駒を鉛筆で汚さないということが大前提と思って、ご自分の責任にて施工してください。私ならば、「専門家に任せてください」とアドバイスします。
補足:ちなみに以前こんな観察撮影を行ったことがあります。こちらも参考にしてみてください。
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