私の工房で弓を購入された方のほぼ全ての方が、後になって「今まで使っていた弓が、こんなにペコペコの弱い弓とは思っていなかった」という感想を述べられます。
笑いながら、「よくこんな弓で弾いていたものです」と、自虐的な事をおっしゃる方も珍しくはないのです。
それではなぜ、「ペコペコ弓」を使っている方が、それに気づかないのか?
それは多くの方が、自分の行動を客観視できずに、主観的に見て行動しているからなのです。「自分の行動の肯定」です。それは生物としての自己保護本能であり、不思議なことではありません。
簡単に言ってしまえば、そのような「ペコペコ弓」を良いと思い込んでいるから、それにたいして疑問も感じないのです。悪いと思ってしまったら、それまでの自分の行動や努力を否定してしまう事になってしまうからです。
演奏の上達における一番重要な事柄は「理」であり、それを行うためには「客観性」が重要なります。その客観性とは、自分で考えるものではなくて、他人から教えてもらう、または指導してもらうものなのです。プライドが高い人は、そこを行えないのです。
何も、誰かに対して頭を下げろとか、そういう話をしてはいません。このままでは「残り時間がもったいないですよ」と言いたいのです。
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