音楽専用ホールの音響というものを意識して考えたことがあるでしょうか?
多目的会場(公民館とか、体育館とか)との違いは何なのか?
もちろん、音楽ホールにも様々な音響特徴がありますし、多目的会場のそれも様々です。だから一概に決めつけることはできないのですが、私の個人的なイメージを書きます。
音楽専用ホールの特徴は、「反響板」です。単純に反響板が設置されているだけでなく、その固さや強度が考慮されて設計されています。ちなみに「反響板」の中には、舞台床自体も含まれます。
そしてその音の特徴は、中低音の音域がしっかりと出る事です。例えば、コントラバスが「ポンッ」とピツィカートで音を出したとき、多目的会場ではその音が聞こえにくいのです。
また、ヴァイオリンの音でも、きちんとした音楽専用ホールで弾いたヴァイオリンの音色は、「楽器の箱の響き」もきちんと出ます(伝わります)。しかし多目的会場でのヴァイオリンの音は、高い倍音成分だけが伝わってしまい、すこしキンキンしたヒステリックな音になってしまうのです。「豊かさが無いとか、艶が無い、または痩せている」と表現されます。
ヴィオラの音も同様で、多目的会場だと鼻が詰まったような寸詰まりの音に聞こえがちなのですが、音楽専用ホールだと豊かな「ヴィオラの箱の大きさ」を感じる事が出来ます(もちろんヴィオラの性能にもよりますが)。
このように、音楽専用ホールの特徴は、「中低音の音域が痩せない」という音響効果にあります。
本当に上手な演奏を追求したい場合には、音楽専用ホールでの演奏に慣れる事が重要なのです。もちろん小ホールでも良いです。
・・・もっとも、そんな理想的な音楽専用ホールを予約できるものなら、皆とっていますけど。それが出来ないから、泣く泣く多目的会場で演奏会(発表会)を行っているわけですが。
蛇足になりますが、音楽専用ホールにて録音すると、「ちょっと高域が物足りないかな?」と感じやすいのです。だから多くの高級マイクロフォンは、高域特性がちょっとだけ強調されているのです。音響計測用のマイクで、ありのままの音を録音するのが良い録音とは言えません。
逆に、安いマイクロフォンの特徴は低域特性が下がり気味で、音が痩せている感じがします(帯域が狭いです)。音楽専用ホールで録音すると、ギリ使えますが、多目的会場で安物のマイクロフォンを使うとガッカリすると思います。
よって、「どのマイクがお勧めですか?」という問に、簡単には答えられないのです。
追記:日本のクラシック演奏の向上のためにも、立派な小ホールよりもさらに小さな、「公共の、音響もきちんと考えられた舞台のある、小スペース室」を作って欲しいです。座席は折りたたみ椅子で十分と思います。
それならば、演奏家が気軽に(低予算で)本格的なコンサートを開催することができますし、アマチュア発表会でも活用できます。維持費も少なくてすむことでしょし。