お客様から、調整の依頼と、「ちょっとだけボウイングを見て欲しい」というメールを頂きました。

 このお客様、アマチュア演奏者なのですがとてもお上手な方です。だから「ボウイウングを見て欲しい」というメールの意味がピンとこなかったのです。

 調整は半年ごとに定期的にいらっしゃっているのですが、楽器を弾いているのを見るのは、弓や楽器の購入の時以来ですから、5年ぶりかもしれません。

 それで工房で軽くボウイングしてもらって驚きました。以前の弾き方とは全く違っていて、変な弾き方をしていたのです。

 そこで話を聞いてみたところ、色々演奏方法を試しているそうなのです。

 一生懸命だから、そして向上心があって研究熱心だからこそ陥るパターンなのです。色々試すあまり泥沼にはまってしまって、自分が見えなくなってしまったのです。

 これは楽器や弓をあちこちで試奏しまくっている人にも同じ事が言えます。

 本人は良かれと思っている行動が、客観的な眼で観察すると、マイナスの行動になってしまうことも多いのです。しかし自分で自分を冷静な眼で観察するのは難しいので、本人は良かれと思っているのです。特にプライドが高い人は、他人に頼ることをしないので、悪化の一途を辿るのです。楽器の購入も同じです。

 

 その点今回のお客様は、「他人の意見を求める行為」ができる方でしたので、私の「以前と比べて変ですよ!」という指摘を受けることが出来たのです。

 一生懸命で、研究熱心な方に起こりがちな症状でした。

 皆さんも、ちっぽけな自尊心なんて捨てて、素直な気持ちで他人を頼ってみるべきです。プライドが高いと、この言葉自体に反感をもつのでしょうが。

 

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