上手なソリストでヴィブラートが「痙攣ヴィブラート(振動ヴィブラート)」のように暴れている人が多いです。多くの聴衆はそれをダイナミックな演奏と思っているのです。先日テレビで観た演奏もそうでした。才能のある演奏家さえも、判っていないのです。なぜならば、この業界(音楽大学)そのような物理教育が皆無だからです。

 本来の美しいヴィブラートは、音程の周波数が変化するような奏法です。ところが「痙攣ヴィブラート」とは弓が跳ねてしまって、音量が変化してしまっているのです。だから「カカカッ」って音になってしまうのです。

 この2種類のヴィブラートの違いの原理を理解すると、映像を見なくてもレコードやCDの音を聴いただけでも明らかにその違いを感じることも多いです。理にかなったヴィブラートは美しい音なのです。

 なぜならば、摩擦力が途切れていないで連続した音だからです。一方「痙攣ヴィブラート(振動ヴィブラート)」は音が擦れています。

 さて、この「痙攣ヴィブラート(振動ヴィブラート)」をどうやったら改善(修正)出来るのかを書きます。

1.しっかりした説明をうけて、ヴィブラートの理論を脳に理解させる。
2.ただしヴィブラートの指つかいをゆっくり練習する。
3.真の意味での性能の良い弓を使って、自然な圧を掛けたボウイングを心がける。

 「理にかなったヴィブラート」に興味がある方でも、意外と「3.」の意味が判っていません。だから暴れるのです(跳ねる)。

 美しい音に興味のある方は是非とも私のお勧めする「性能の良い弓」を試奏しにいらしてください。私の丁寧な説明を聴いた後に、その弓で弾くと、「なるほど」と自分自身の音の差に納得するはずです。

 何度でも言いますが、演奏とは「運動」であって、「科学」なのです。

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