アマチュアのオタク演奏者の中には、弦を取っ替え引っ替え貼り替えで、ああだこうだといい加減なレビューを書き散らしている人もいます。
何度も言っているように、弦というのは楽器や調整とのコンビネーションで決まるものなので、弦だけを張り替えて音色を考察するのは無茶なのです。
もちろん弦を換えたら音は変わります。しかし本質的な内容ではないのです。なぜならば、弦を換えたことによって発音特性とか、周波数バランスとか、音量とかも(それまで良かった部分も)変わってしまうからなのです。
ここで多くの方は、疑問に思うことでしょう。
「最新の製品が、または高価格製品が性能が良いのでは?」と。
例えば車とか家電とかでは上記の法則はある程度成り立ちます。特に電子制御製品は日進月歩とも言えますので、当てはまるかもしれません。しかし、工芸品とかはどうでしょう? そうとも言えない事がわかると思います。
さて弦に関してはどうなのでしょう?
弦の構造は皆さんが想像している以上に複雑で化学技術を必要としています。50年前の弦と、最近と弦では使われている素材が異なったりしています。
しかし「日進月歩か?」と言われたら、そんな事はありません。50年前と現代の弦の構造は基本的に同じです。だからドミナント弦などの古くから存在する弦が、未だに最前列で活躍しているのです。さすがにガット弦(オイドクサとかオリーブとか)を張っている人は少なくなりました。しかしそれらの弦だって現役バリバリです。
このように、弦の世界は、電子制御の製品とはちょっと異なるのです。どちらかと言えば伝統工芸品とかにちょっと近いのです。
それではなぜ毎年のように新製品が発売になるのか? とくにピラストロー社で顕著です。
私の勘ぐりになりますが、商品価格をつり上げるのが目的と思います。価格の高い新製品を発売していって、弦全体の価格をつり上げているとしか私には思えません。
または新商品をバンバン発売することで、ピラストロー社に意識(新しい物好きのユーザーの好奇心)を集中させ、弦のシェアを獲得しようという企業の企みもあるのだと思います。
もちろん弦メーカーの技術者としての探究心から新商品を発売しているというのも真実ではあるでしょう。しかし、あまりにも弦の種類が多すぎます。価格も高すぎます。
ピラストロー社の弦の高騰が、我々末端の演奏活動の首をギュウギュウ締めているのが現状です。
残念ですが、価格に関しては、末端仕入れ業者の私にはどうしようもありません。
関連記事:
- 新品の弦に張り換えるときには
- 技術は、常に進歩するというわけではない
- 開封したばかりの新品の弦なのに、弦の表面が黒く変色している
- 演奏会シーズン前なので忙しかったです
- あちこちの楽器店で弓の毛替えをしていると、弓が傷みます