弓の性能が低い(ペコペコ竿)方は、長年無意識に「弓を潰さないように、弓をコントロールして」という意識で練習をしています。
そうすると、どうしても弓毛の片側でそっと弾く癖がついてしまっているのです。だから弓毛の片切れが起きてしまいます。
もちろん多かれ少なかれ誰しも片切れは起きます。しかし酷い人になると、半年の使用で馬毛の半分から1/3くらいも毛が切れてしまっているのです。これは普通ではありません。
私の工房にて良い弓(弓竿の剛性が高い)を購入された方に、「弓毛はそんなに張らずに、弓を縦気味にして、弓毛の平面全面を弦に乗せる感じで弾いてみてください」とアドバイスしても、最初のうちは弓毛の片切れが起きてしまいます。
自分の癖を修正するのは、これまで自分が努力してきた事と同じくらい難しかったりするものです。
しかし心配はいりません。人にもよりますが、数年で改善します(弓を買い替えて直後から改善する方もいます)。
私はこれまでたくさんのお客様の事例として知っていますので、焦る必要はありません。
重要なのは、物理的根拠のある道具を手に入れる努力なのです。いくら演奏の練習を努力しても、道具が理にかなっていなければ、全て間違った方向へ突き進んでいるだけだからなのです。貴重な人生の時間の無駄です。
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