昨日、大晦日には仕事も一段落していましたし、お客も調整受け取りの一人だけだったので時間的に余裕もあって、その方とちょっと話をしました。その方は若いヴァイオリニストで、名のある音楽大学を出て、プロとして活動しはじめてまだ間もない方です。
音大の途中から私の工房にいらしている方ですが、もちろん私の工房で弓を購入して、楽器(楽器は以前から所有しているもの)も私がきちんとした調整をし直しました。最初に来たときには、せっかく上手なのに、良くみかけるタイプの勘違い演奏をしていました。弓の性能が悪い人がそうなってしまうのです。
ところが、弓を購入してから演奏や音が激変し、来るたびに「理にかなった演奏」というものを吸収していき、演奏が自然になっただけでなく、楽器の本質まで理解してきました。昨日いらしたときなどは、なかなかのベテラン演奏者のような貫禄さえも感じました。「理にかなった運動」ができているだけでなく、その意味をきっちり脳で理解できている感じでした。
その質問や会話も知ったかぶりをせずに、素直に、しかし高度な事を尋ねてきて、素晴らしい成長と感じました。短い時間ではありましたが、とても楽しい会話ができました。
手元にあったカントゥーシャ作のヴァイオリンを「素晴らしい!」と言ってくれましたが、その方所有の楽器も良いので、「楽器のタイプが全く違うものなので、買い換えとかはダメですよ。買い増しなら有りかもしれませんが」と答えておきました。
関連記事:
- 「理にかなった演奏」をしている音は、すぐに判ります
- 理にかなった「良い音」とは?
- 理にかなったヴィブラートでした
- 理にかなった道具と運動(奏法)により、弓の震えはピタリと止まります
- 「理にかなったヴィブラート」は「性能の良い弓」とペア