少し前に、「2種類のヴィブラートの音質」という記事を書きましたが、先日にまさにそれを体験しました。

 先日調整にいらしたヴァイオリンの方(アマオケのコンマスの方)が、「購入するわけではありませんが、勉強のために弾かせてください」とのことで、カントゥーシャ作のヴィオラを試奏したのです。

 そうしたら、そのヴィブラートの美しい事!正直言いまして、プロの方からもなかなか聴く事の出来ないような、美しさでした(もちろん、弓の扱いとか、圧力のかけ方とか、音程とか、突っ込みどころはアマチュア演奏者で、それもヴァイオリン演奏者ですから、たくさんありますが)。

 私は直ぐに、「おおっ、ヴィブラートが綺麗ですね!」って言ったところ、その方も「私もヴィオラを弾いているときに、そう言われた事がありました」とのこと。まさに「理にかなったヴィブラート」でした。

 何が「理」かというと、ヴィブラートをする指と手首の動きが理想的だったので、楽器が全くぶれていなくて、摩擦力の変化がほとんど起きていなかったためでした。おそらく普段弾いているヴァイオリンと違って、大きなヴィオラを弾くときには、ヴィブラートを強引にではなく、ゆっくり丁寧に、さらに理想的な方向にかけたから、このような美しいヴィブラートが生まれたのだと思います。

 理にかなったヴィブラートって、そのたった一つの要素だけでも大きな武器になるのです。プロの演奏者も、もっと理論的(物理的)に考えて実践すると良いのに・・・って、余計なお世話ですが。

関連記事: