最近、学生時代に一生懸命(純粋な心で?)聴いた曲を、もう一度再確認して、歳とともに衰えてしまった自分の感性に刺激を与える作業を行っています。

 先日、デュプレ演奏のドヴォルザークチェロ協奏曲の中古レコードを購入しました(独EMI盤なので、結構マニア盤です)。このデュプレのレコードは学生時代に持っていませんでしたが、別のデュプレのレコード(ハイドンのチェロ協奏曲)はけっこう好きな一枚でした。

 最初に丹念にバキュームクリーナーで盤面の掃除をしてから、レーザーターンテーブルで聴いてみました。ボソボソというレコード特有のノイズが心地よいのです。

 そこから出る音は、やはり時代を感じさせる音です。しかし、それが当時のそのままの音でもあるのです。下手に加工しない、素直な音源こそが貴重だということに最近気づいたのです。

 何度か聴いている内に、学生時代には感じなかった感想をもちました。学生時代には、その「テクニック」とか「力強さ」とかを感じたのです。しかし今、”おじさん”になって聴くと、「若さ」とか「若さ故の粗さ(悪い意味ではなく)」とかも感じます。レーザーターンテーブルの再生の繊細さもあるかもしれません。

 もし、デュプレがもっと長く演奏できていたら、また違った雰囲気の演奏を聴くことが出来たのかもしれません。しかし、人生の中で「若さ」、「若い時」は一番の財産ですから、デュプレも一番素晴らしい演奏を残してくれた、とも言えるのではないでしょうか。

 

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