大人で体格や手が小さめの方や、またはフルサイズにアップしたばかりの子供において、よく「楽器の大きさ」の話題になります。

 そのような方のほとんどは、「弾きにくいのは楽器が自分にとって大きすぎるから」と、楽器のサイズ(寸法)ばかりに意識がいってしまっています。最悪の場合、大人なのに7/8サイズとかのイレギュラーなサイズのヴァイオリンを購入してしまう方もいるのです。ヴィオラやチェロにおいても、小さめの楽器を購入してしまう方はヴァイオリン以上に意外と多いのです。

 もちろん「弾きやすさ」において、楽器のサイズ(寸法)が大きく関わってくることは間違いありません。しかし、それ以外の様々な要因でも、「弾きやすさ」はまるで変わってくるのです。その証拠に、同じ楽器であっても、微妙な調整によって「こんなに音も、弾きやすさも変わるものなのですね」と、驚かれるお客様はたくさんいらっしゃいます。

 楽器の弾きやすさに大きく関わるのは次の要因です。

・サイズ(寸法)
・楽器の作り、構造、重さ。重い楽器は弾きにくいです。また、アンバランスなほどの幅、厚みのある楽器だとか、ネックが太すぎる楽器も、とても弾きにくいです。簡単に言ってしまうならば、「良い楽器はとても弾きやすい」のです。
・指板の反りや、駒の高さなどの調整によっても、楽器の弾きやすさはまるで違ってきます。
・肩当てやアゴ当ての正確な選択と装着、そして何よりも、理にかなった楽器の保持が、楽器の弾きやすさに大きく関わってきます。・弦の選択やレスポンスの状態によって、楽器の「軽さ」のイメージがまるで異なってきます。
・真の意味で良い弓を使うことで、物理的に理にかなった摩擦力を得ることが出来ます。それはすなわち、「楽器の弾きやすさ」に等しいのです。
・調整の一貫した継続性。

 これらの内容は、ネットで情報を調べているだけでは絶対に得ることが出来ないことです。情報でなくて、技術なのです。

関連記事: