昨日にも、私の工房に初めていらしたチェロとヴィオラの2組のお客様に弓の性能について説明しましたが、ほとんどの方は「脱力」という言葉を勘違いされています。
「脱力」を力を入れないで(力ゼロで)演奏することと勘違いされているのです。しかし、これは全くの間違いです。
なぜそのような大きな勘違いが広がっているかというと、次の要因によります。
1.実性能の低い弓が、良い性能のものとして高価に売買されている。
2. 演奏者自体が、まともな科学的根拠による教育を受けていない(音大にそのような授業自体が存在しない)。従って、勘違いして自分で弾き、そして教えているプロが半数以上(私見です)いる。
3. 業者も知らないで売っている。その時にいい加減な説明を堂々としている。
4. 言葉自体の意味が、一人歩きしてしまっている。
それでは本当の意味の「脱力」とは何かというと、筋肉を硬直させないで、本来の理想的な運動を行うための「状態」のことなのです。これはスポーツの考え方と全く同じなのです。
「圧力」と「脱力」を混同してはいけません。全く違うものなのです。
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