以前にも紹介したかもしれませんが、このリンク素晴らしいです。我々職人が感じていた疑問を、科学的に説明しています。

 天然砥石で研いだ刃物の研ぎ面って、白っぽい(くすんでいる)のです。一方、人工砥石とかポリッシャーで研いだ刃物の面はピカピカ光っています。

 天然砥石で研いだ刃物の研ぎ面が白っぽいという事は、表面にキズが残っていて光が乱反射しているという事のはずです。本来なら、ピカピカ光っている方が、研ぎ面がより平らなはずなので、研げているはずなです。

 しかし実際には、天然砥石で研いだ刃物の方が切れます。この矛盾点に対して、上記のサイトは科学的観察によって、きちんと説明がされているのです。

 素晴らしい! 私もレーザー顕微鏡、ほしいなあ。

 ちなみに、さらに一歩突っ込んでの私の考察になりますが、例え同じ天然砥石を使った研ぎでも、上手な人の研ぎの面と、初級者弟子の研ぎ面とでは色(反射の色)が違います。初級者が研いだ方が、まるで人工砥石で研いだようにピカピカ光るのです。これも、上記の観察結果の応用で説明が出来ます。

 

 蛇足になりますが、同じことはヴァイオリンのニス塗りの最終仕上げの、「ペーパー磨き仕上げ」と「塗りっぱなし」技法の差とも共通しています。

 

補足:この紹介したサイトが素晴らしいのは、実際の観察によって、科学的にはっきりとした証明をしているところです。
 例えば私も、感覚的にだったらほぼ同じ結論を推測できていました。しかし、それはあくまでも推測でしかありません。また、推測と観察の決定的な違いは、観察によって「度合い」を実際の寸法として理解することができることなのです。推測も重要ではありますが、推測はあくまでも推測でしかありません。

 このサイトは、職人の技術とは一見無縁に思えるようなレーザー顕微鏡を用いて、自身の研ぎを追求しているところが素晴らしいです。

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