皆さんの中で、マイクロフォンの音質比較実験を、”実際に” 行った方はほとんどいないと思います。何となく違いを感じているとかの方は何人かはいらっしゃるでしょうが、実際に比較実験を行うのってけっこう大変だからです。
それ以前に、録音というもの自体に興味がないかもしれません。
これから話す事って、弦楽器に繋がるのです。けっしてオーディオだけの話題ではありません。
さて、マイクロフォンの特徴をどうやって比較するのか? 高級マイクロフォンに附属している「周波数特性グラフ」だけから比較できるのかというと、残念ながら特性グラフからは大まかな事しか判りません。
実際に同じ音を、同じ場所で、同じ条件下で録音して比較しなければ、正確な事は判らないのです。
それでは録音する音源は何が良いのか?
例えばYouTube動画では、ピアノだとかギターだとかの生演奏を録音して、マイクロフォンの比較している動画がいくつもあります。生楽器を録音して比較するのは、一番基本的比較方法だと思います。なぜなら、マイクロフォンを使っての目的は、そのような楽器の音を録音することが目的だからです。
しかし、生楽器での演奏を録音して比較するのでは、マイクロフォンの特性を見分けにくいのです。わかりにくいのです。もちろん慣れた人なら比較できるのですが、聞き分けにくいです。
その理由は、ある微小時間区分における音源(楽器の音、音楽の音)の周波数成分に、一部分の周波数成分しか含まれていないからです。
判りやすく言えば、ギターの音にはコントラバスの低域音は入っていません。また「ド」の音を発音したときには、「レ」の音は完全には入っていないからです。
音響的に言えば、周波数特性としてまばらな情報の音源なのです。
一方、録音する側のマイクロフォンの特性も一定ではありません。微周波数区間における特性は、それぞれのマイクロフォンで違います。
よって、ある周波数区間における音源の特性と、マイクロフォンの特性がたまたま+どうしで合った場合には、マイクロフォンの音が良いと感じるかもしれませんが、その逆に音源の特性とマイクロフォンの特性がたまたま合わなかった周波数区間においては、マイクロフォンの音がイマイチと感じるわけです。
それではマイクロフォンの比較をえこひいき無しに行うにはどうしたら良いかというと、音源にホワイトノイズとかピンクノイズとかの均一な音を再生して、それを録音して比較すると、驚く程マイクの音の比較がしやすいのです。
実際に正確なホワイトノイズやピンクノイズを再生するのは不可能なのですが、それでも楽器の音や、音楽を演奏して比較するよりも、よほど簡単に違いが出るのです。
さてここからが弦楽器の話になります。本題です。
演奏するホールの特性、座席位置などで、お客に聞こえる音ってかなり違います。さらに演奏する曲によっても、出る音ってかなり違うのです。
こういう時に、楽器自体の音に癖があると、ホールや曲との相性で、結果が全く違ってくるのです。良いときもあれば、空振りに終わることもあります。そしてその結果の理由に、演奏者は気づかないのです。
それに対して、周波数特性的に素直な楽器の場合、常に良い音が届きます。例えば、カントゥーシャ作のヴァイオリンを所有していらっしゃるお客様が、「低音が出る」とおっしゃっていましたが、正確に言えば「低音 “も” 出ている」というのが正しいのです。
良い楽器というのは、きちんとした理由があります。
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